俺、はさ、恋とか人を愛することとか全く分からないし分かろうとしたって分からないし。だから、誰かをすきになった瞬間て良く分からない。 でもこの間、同じクラスの鵠沼さんの笑顔を見てたら少し変な気持ちになった。なんていうか、胸が苦しくなるって言うか寒気がするというか、 なんだか気にしてしまう。それなのに、なんだかあたたかくて。変な感じ、もやもやしてて。これが人を好きになるって事なのかもしれない。

うーん。この感じが好きになるって事ならなんだか気持ちが悪いな。俺は、実際恋とかわからない。俺はさんの隣で笑っていてもいいのかな、むしろ俺は幸せになってもいいのかな。よくわからないや。


「ね、柿本君。」
「・・・なに?」
「今日ね私と、柿本君日直なんだけど日誌書いてもらってもいい?」
「いいよ。貸して。」
「ありがとう。」


放課後さんと一緒に日直の仕事をした。俺は日誌を書いてさんは教室を整えてカーテンをしめて黒板をきれいにした。
俺は日誌を書いてるあいだも、さんのことをみてしまう自分にちょっと嫌気がさした。あぁ疲れる。


「柿本君、日誌書き終わった?」
「うん。」
「そ?じゃあ先生に出しにいこう!」
「そうだね。」
「あ、あとさ、今日途中まで一緒に帰えってほしいなぁなんて・・・。」

「・・・めんどいけど、べつにいいよ。」


さん、驚いた顔してる。でもすぐ笑顔に変わって「ありがとう。」って言った。
ふーん、なんかいろいろめんどいけどいいかもしれない。
俺は幸せになっちゃいけないかもだし、笑う、とかあんまよくないかもだけど、これが好きになることかもしれない。




・・・・それにしても今日の俺は良く喋る。












恋情













20070903鵠沼 杵多