人って言うのはさ、慌てなくたって何時かその時が来れば命が尽きちゃってさ。それで、命が尽きちゃえばもう過去のモノのなってしまって、 『絶対に忘れないよ。』って言うくせにどんどん、どんどん記憶から存在が薄れていっちゃって何時かは名前すら思い出せないほどのものになってしまう。 でも、べつに俺は悲しいことだとは思わない。むしろ、俺の存在なんてもの忘れて欲しいよ。誰の記憶にも残らないくらいに。


どんなに殺しが上手くても、どんなに人気者でも、どんなに不幸者でもそれぞれ人にはリミット、限度があるわけでさぁ。 だから何時か俺だって消えてしまうけど、それは別に自然なことだしむしろ俺はいつ死んでもいいと思ってた。 でも、に会ってからにだけは俺の事覚えていて欲しいと思った。俺は、をいつからかは分からないけど 心のどこかで想ってた。とても、深く。けど、そんな告白とか付き合うとか俺の柄じゃなかったし特に関わることもなかったし。 もしかしたら勘違いしてる人が居るかもしれないけど俺は別にと付き合っているわけでもないし話したこともあまりない。 赤の他人、にものすごく近い関係だった。柄じゃないけど何度か話しかけようと思ったさ。それも思っただけで何時も目の前で、 直前で逃げ出すから何にも残らなかった。何もなかった。



なんか、上手に表現できるものでもないし別に誰かに分かって欲しいわけでもないけど胸の奥に何かが刺さって俺の心を汚していくモノが そこにいつからか出現した。それは悪性の腫瘍みたいにどんどん俺の心を飲み込んでいった。蝕んでいった。ひどくてもう薬を投与したって カウンセラーが付いたって手術を施したってどうにもならないほどにひどくなっていった。どんどん....どんどん....。もともとあった俺の心を 例えば白いキャンパスだとしよう。マフィアの実験のために使われる前は本当に真っ白で眩しいくらいだったはず。しかし、実験が重なるにつれ、 ひどくなるにつれそれは着実にじわじわとその俺の白いキャンパスを憎悪の色で染めていっていた。黒、時には赤、灰色。どんどん黒くなっていく。 人を殺して、殺して生き延びて。その、国宝級の憎悪の芸術のキャンパスを埋める記憶はついに白を失って黒にしか輝かなくなった。 白く輝くんじゃなくて、黒く。そう、エナメルのような光沢とともに、鉄のような洞穴のような洞窟のような黒さをもった黒。 その、俺の心の黒いキャンパスと記憶を感じて見て何時か俺は、俺の事を薄ら笑う世界をみた。それからは人も、世界も憎んだ。誰からも避けられ 手を差し伸べられることもなく、愛情というものを感じず。誰にも認められない苦しさと、存在を拒否されるようなもどかしさとで、 何時か表情もなくし感情もあまり持たなくなり何にも興味を持たなくなり、ただめんどくさいと、すべてを嫌うようになった。 ただ唯一俺の存在を受け止めてくれたのは骸様と犬だけだった。



突然そこに現れた、誘いのカイト。俺は何にもない海に浮かんでいて、果てなく続く海とともに見えもしない、あるかも分からない陸を目指して 時々泳いだ。ときたま、嵐が来て荒波が押し寄せて腫瘍を攻撃した。その、突然現れた誘いのカイト、と船。それも小さい小船。 人一人がぎりぎり入るぐらいの小さい舟。その中に居たのは紛れもなくだった。群れる三人称。否、3人。いつしか、俺の周りに 三隻の船があった。一つは骸様、もう一つは犬。それと、。いつのまにか周りは自分の目的を見つけ、陸地をみつけ船を作り 生きようとしていた。でも、なぜかそこで欲望が生まれた。際限ない欲望が。移り変わっていく状態のなかの最後の、欲望。 愛したい、そばに居て欲しいとか、今までにない変な、グチャグチャした感情があふれた。




ハッと目が覚めた。あぁ、なんだ夢か。




なにかが、変になった。この夢?をみてから、モヤモしてすっきりしない。

一言の言葉に惑わされている。

暗号のような塞いだ言葉、決して俺の口からは出ないような言葉。

揺らいだ想いはいつしか心の黒さに白い絵の具でキャンパスに殴り書きされていた。


















暗号


















それから、ずいぶん日が経ってから俺は少し行動に出た。

急かされても今は簡単に笑えないけど、と話すこととか逃げないで出来るように。

きっかけは席替えでたまたま隣になったから。際限ない欲望を少しずつ満たして。



別に俺の想いが届かなくたっていいんだ。君と話せれば、君が俺の名前を呼んでくれるなら。

君が何時か誘いのカイトをあげて俺以外のところに行かない事を此処で泣きながらも願うよ。

届かなくたって、いい。矛盾してるけどただ誰かの元に行って欲しくないだけの、ただの自分かってな欲。








つたない方法で満たす俺の感情と君の体温


つたない方法で放つ君の感情と俺の体温



話すというコミュニケーション。




この感情に、解くなどありはしない。




俺が君に想いを伝えられれば、



解けるかも知れないけど。



君に伝えたい感情と君に伝えたくない過去。



君は俺を好きになってくれるかな。



俺を解放してくれるかな。



果てない海という地獄から。



好きという感情じゃなくてほかの、



俺の、すべては、



君に伝うかな。



君に伝うわけないよな。



深く願うな。



それは俺を苦しめる鍵となり鎖となる。



それはを苦しめ、沈めるものとなる。





いつ、俺の耳に優しい子守唄が届くのだろうか。



















のワルツ





















やばい、書いてて意味がわからん。
倖 燗拿20071031