「ねぇ、みてみて千種!こんな所にタンポポが咲いてるよ!」

「・・・うん、そうだね。」

「はやいねー!なんかもう春って感じがするね!」

「最近、暖かくなったからね。」

「うん!私、春って大好き!」

「なんで?」

「生命がいっぱい輝くから!」

「・・・・・そう。」

「そう思わない?暖かくてたくさんの花が咲いて虫達が活動して。人間だって一緒だよ!
春には入学式とか新学期とかあるでしょう?春はねすべての始まりの時なんだよ!」

は、楽しい?」

「なにが?」

「今が。今俺たちは河原にいて俺は座っていては走り回って春を探すっていう今をさ。」

「ううん、楽しいんじゃないよ。今は幸せなの。千種と一緒に居るから、ね。千種は?」



ちょうど、強く春の青臭い暖かい風が吹いた。



「言うの、めんどい・・・。」

「まーた、めんどくさいっていうの?」

「めんどいもんはめんどい。」



が走って俺が座ってる河原の斜面の所まで来た。



「そうゆうこといわないの!千種の千種って言う字は千の種って書くでしょう?
あれはね、千種が千個の可能性をもっていてそれをひとつひとつ土の中に植えていって花開いてほしいって事なんだよ?」

「・・・は?」

「まあ、これは個人的な解釈だけど!だからそうゆう風に言わないの!」



なぜか説教?らしきものを聞かされ、さらには両手で俺の両頬をつねって笑い始めた。



「ちょっと、痛いから・・・。やめて。」

「じゃあ、もうめんどいって言わない?」

「・・・言うよ。」

「駄目じゃん!じゃー離してやんない!」

。」

「言うこと聞くまで離さないよ!」

。」

「なんだよう!」



俺は無理やりの頭を抱え込んでその勢いでキスをした。



「・・・ちく、さ?」

「なに。」

「どうしたの?」

「どうもしないよ。」

「うそ・・・。」

「うそじゃない。」

「・・・ちくさ、馬鹿?」

「うん、きっとすごい馬鹿だよ。」



あ、が泣きそうだ。



「ねぇ、千種。」

「・・・・。」

「私のこと、絶対に離さないで。」

「どうして?」

「そばに居たいの。」

「・・・を離さないことなんて当たり前だから。」



抱きついて泣き始めた。



俺は頭を撫でてやる。それから、春の風にあたる。



暖かいな。気候もも。







春の扉








春は風の匂いがすきです。
倖 燗拿20070303

photo*MIZUTAMA