哀しくなって、悲しくなって、泣いた。誰もいない。誰も、居ない。空っぽの心で脳で体で、薄っぺらい白いワ ンピースを着て部屋の端っこにある真っ白いベッドへ倒れるかのように、まるで命を失った何かのように体を横 にする。ギシリとベッドのスプリングが音を上げ、体がのっている所だけべこりと沈む。静かだ、静かだ、誰も いない。この部屋には私一人だけ。自然と流れてくる涙は重力に従順で下へと流れていく。ポタリ、ポタリと一 滴、一滴潤んだ目から頬を伝って涙の道を作りながら落ちていく。たまに道を外れてしまった涙が口の中へと入 って来る。しょっぱい。落ちていった涙は一瞬空中を浮き彷徨いベッドの中へと吸い込まれてゆく。名残でベッ ドカバーが湿って涙が跡をつけて行く。優しいけど生暖かくて逆に気持ちが悪い。ぼーっと焦点の合わない目線 の先には窓が見える。悲しい、哀しい。痛いなぁ、なにかが痛いなぁ。なんだろうか。


「…。」


誰かの声が聞こえるよ。私の名前を呼んでる。誰かな。もう誰も私の事なんてかまわないで。なんにもならない よ、むしろかまったらぐちゃぐちゃになっちゃうよ。心とか精神とか。


「…聞いてるの、。」


私の名前…。そんな声で呼ばないで。ふわりと鼻に愛しい香りが届く。頭に少しの重みと少しの暖かさ。誰?私 の頭をなでて居るのは誰なのですか。暖かいよ、愛しいよ。違う意味で涙がでてくる。今の私にそんなに優しく しないで。暴れるよ、叫ぶよ。危ないの。涙と馬鹿な神経のせいで顔がぼやける。貴方の顔が見えないよ。


「…泣いてるの?」


さっきからずっと泣いてるよ。時間が分からないから何時からかは分からないけどずっと泣いてるよ。目の前に 指が見える。いきなりその指が目に押しつけられる。少し痛い。少し横に指がずらされると涙も一緒に動いた。 あぁ、涙を拭ってくれたのね。ありがとう。すこし、見えるよ。深緑、腕のところに二本線、黒曜の制服にパッ ツンおかっぱ、眼鏡と死んだような目に帽子。千種だったんだね。今思い出したよ、名前すら忘れて居たんだね 私は。声とか仕草とかは明確に覚えていたのに顔と名前は忘れて居たんだ。馬鹿だなぁ。ごめんね、今気がつい たよ。


「千種…」
「なんで泣いてるの。」
「知ってるくせに。」
「うん。」





「なんでずっと頭をなでているの?」
が泣いてるからだろ。」
「…千種は太陽みたいだね。」
「は?」



うん、そうだ。千種は私にとって太陽みたいな存在だよ。なにか有るといつもすぐそばに居てくれて、優しくし てくれるの。私と千種はどんな関係なのかな?分からないや。



「私が地球に根をはる萎れた雑草だとしたら千種は私を元気にしてくれる太陽だね。いつも私のそばに居てくれ て優しい。私だけを照らす太陽みたいに。ねぇ、どうしてそんなに優しいの。」

「…さぁ。の為ならなんだってしてあげられるから。」
「…?私も今なら千種になんでもしてあげられる気がする。」
「どうして。」
「たった今千種が好きって分かったから、かな。」
「あぁ、今の発言に同感だよ。。」







やっぱり貴方は私だけを照らす太陽だ。大好きだ。大好きだ。大好きだ。大好きだ。大好きだ。大好きだ。大好 きだ。大好きだ。大好きだ。大好きだ。止まらないよ、好きが、とまらない。もっと早く気がつけばよかったよ 、愛してるの千種。何時までも私を優しく包んでいて。私はずっとそばに居るから。何があっても。世界中が千種 を嫌っても、恨んでも、私には千種だけで、千種なしじゃ私は生きられないから。










私だけを照らす







太陽











倖 燗拿20070325
WAVE様、参加させていただきありがとう御座いました!