ガタン、ゴトン。

ゆらゆら電車がゆれる。この時間の電車の中はあまり人が居ない。椅子もがら空き。 寝てる人や、お化粧してる人、おばさん達の話し声、赤ちゃんを抱っこするお母さん。 そんな電車の中で、私とディーノは二人並んで座る。目的地まではあと20分くらい。 特に話すこともなく、二人とも無言ですぐに流れて行ってしまう外の景色を見ていた。


「俺、ちょっと寝るわ。着いたら起こして。」
「うん、わかった。」


暖かい電車の中の気温と心地よい揺れが眠気を誘う。でも私も寝ちゃったら目的地に ついても気がつかなくて過ぎちゃうかもしれないもんね。一息ため息をついてぼーっとする。 ふと、ディーノの足とあたしの膝がぶつかった。同じくらいの位置に座ってるのに、 あたしの膝の位置とディーノの膝の位置とじゃ全然違う。あぁ、男の子なんだなぁって思った。 ディーノの方がずっと背が高くて何センチも差はあるんだけれど、こう足?の長さで見るとこんなに 違うんだなって。細いのにごつごつしてて筋肉質で、腕なんかもこんなに細っこいのに力もいっぱいあるし・・・・。 なんか少し切なくなっちゃうな。横を見るとすぐ傍にディーノの寝てる顔があった。 目も口も綺麗に閉じられていてスッキリとした顔立ちがさらに際立つ。


(寝顔、久しぶりに見た。)


ディーノの手は少し日に焼けていて、でも白くて。腕には血管が少し浮き出ていてかっこいい。 あたしはいつまでディーノのそばに居られるのかな。ずっと一緒がいいな。ディーノの傍は、男の子特有の雰囲気での 抱擁感を感じる。なんだか変にドキドキしちゃう。そう、初めて抱きしめられて時の感覚と似てる。 今は傍に居るだけでその感じに陥ってるあたしは、きっと相当ディーノが好きなんだなぁ。 なんて思ってたらだんだん不安になってきて目頭が熱くなった。そ、っと寝ているディーノの手を握る。


(あったかい・・・。)


「ん・・・どうかした?」
「え、あぁ起こしちゃった?ごめんね。」
「いや、て・・・なんで泣いてんの?」
「へ?な、泣いてないよ!」
「・・・泣いてんじゃん。」
「!」


泣くつもり無かったのに、自然と涙がこぼれてたみたい。


「どうしたんだ?」
「うん、なんか切なくなってた。」
「え?」
「男の子と女の子の差とか、」
「ふうん。」


丁度電車のアナウンスが流れて目的地の駅に着くという車掌の言葉が聞こえた。


「あ、着くね。」
「ああ。」


プシューといってドアが開く。乗ってる人たちがほとんど降りて、私たちも降りる。ゆっくり出たから先に降りた人たちは もう階段をのぼっていた。ホームには私たちしか居なくて、私はディーノの後ろをちょこちょこ着いてく。 そしたらいきなり前を歩いていたディーノが立ち止まるからぶつかっちゃった。


「いた!ディーノ、どうしたの?」
「いや。」


といってこちらを振り向いたディーノは何故か真剣な顔をしていた。


「ディーノ?」


ディーノが屈んで耳元で言った。


「あんまり、変なこと考えんのやめろよ。」
「え、あ、うん。」


私がさっきまで握っていた手で、ディーノは私の前髪を押し上げておでこにキスした。一回何が起こったかわからなくて固まってしまった。 私のおでこから離れたディーノは苦笑しながら前髪を直してくれた。


がそんなに悩まなくても、俺はのこと好きだから安心しろって。」
「ディーノ・・・。」
「な?」
「うん・・・。」
「ほら行こうぜ。」


私は差し出された手をぎゅっと握った。







男の子と女の子








2009 0503 seaone
高校生くらいを目指して!放課後デートする前みたいな・・・
うおお久々で口調が分かりませんでした・・・・。