愛してる、愛してる、愛してる、
耳に残るように、口が裂けるほど言って。
耳元で、風が通りぬけるように静かにそおっと囁いて。


「キス、してくれるの?」
「どうして、そう思うんだ?」
「手を、頬に添えているから。」
「じゃあ、どこにキスして欲しい?」
「んー、おでこ。」
「ハイ。」
「うんと、まぶたにして。」
「はい、」
「目じり。」
「ん、」
「鼻」
「はい、」
「口、んむ。」
「は、」


「耳、」


「首筋、」


「鎖骨、」


「手の甲」

「なぁ。」
「うん?」
からは、してくれないのか?」
「して欲しいの?」
「して欲しいっていったら?」
「うーん、いいよ。」
「じゃあ、耳に。」


そういうから、近づいたら耳元でいきなり低い声で囁くからちからが抜けたみたいに なっちゃって。名前しか呼べなかったよ。


「ディ、ノ」
「まだ、キスしてもらってないけど。」
「反則。」
「ん?」
「・・・はい。」






キスの数だけの愛の量



(すべては狂気の沙汰)




20080826 潮音