溶けるように光を放つ太陽と波打つように広がる海の上の青い空と甘い綿菓子のように浮かぶ雲とで夏まっさかりな休暇。 潮騒の音がすごく懐かしくて海に来た。履いていたサンダルを脱ぎ捨てて素足で踏み出した足元はギラギラの太陽に照らされて いて焼けるように熱い。熱すぎてもう火傷してしまいそうなほど。塩の香りが海風にのって吹いてくる。熱いのに気持ちよくて ちょっと生臭いけど嫌いじゃない海の匂い。砂が足にまとわりつく。すこしづつ、すこしづつ歩いて浅瀬へと足を踏み入れる。 冷たい塩水が肌にやわらかく、いやらしくふれて足にまとわりついた砂をさらっていく。つめたい。しばらくの間足元の塩水を ながめてから後ろを振り向くと大好きな獄寺はずーっと後ろの木陰で煙草を吸っていた。せっかく海に来たのにいつもと なんにも変わらないや。 「はーやーとー!!こっちくればー?!」 「うっせえな。焼けたくねぇんだよ!!」 「はー?女の子みたいー!」 「用があるならお前がこっちこい!」 さすがに叫びあって話すのは喉が痛いね。仕方がないから私が隼人の近くに行ってあげた。本当に機嫌が悪そうだ事。熱いのと ぎらぎらの太陽の所為で焼けてしまうことでらしいね。女の子みたいだけどその真っ白い肌、勿体無いもんね。私が欲しいくらいだし。 「なんだよ。」 「別に、海が気持ちよかったから隼人も、って思っただけ。」 「そうかよ。」 「はいらないの?」 「焼けるの嫌だつったろ。」 「今日は、隼人と入りたくて来たのになぁ。」 「・・・・・。」 はや、と。 頭、無理やり抱え込まないで、そんなに腕、きつく締め付けないで、うなじに顔を埋めないで、髪がくすぐったいよ。 隼人、熱いのにこんなにくっついてたら本当に溶けちゃうよ。隼人、隼人、隼人、隼人、隼人、隼人。 「、海入るか。」 「嫌って言ったくせに。」 太陽が溶ける あまいの書きたかったのに。 倖 燗拿20070723 |