火照った頬に君の手





「兄さーん!」
、そんなに走ったらこけるぞ」
「大丈夫よ・・・あッ!」
「おっと!・・・誰が大丈夫なんだって?」
「あはは・・・ごめん」
「やれやれ」


そうやって溜息をつく姿も格好いい。
抱きとめてくれる逞しい腕。
私の大好きな兄さん。


「ねぇ、今日はどこに行くの?」


休日になれば、を連れ出すのが日課になりつつある。
クルクル変わる表情。
見ていると、優しい気持ちになれる。
大切な俺の妹。


「そうだな、はどこがいい?」
「そうね、イタリアの街を歩きたい!」
「今歩いてるだろう」
「そうなんだけど・・・あ!広場に美味しいジェラートのお店があるの、行かない?」


そう言って小首を傾げる君の姿に。
人知れず頬は熱をもちはじめる。
小さい頃から大切にしてきた
血なんて繋がってなければいいと、何度思ったことか。
けれど、俺の醜い感情さえも彼女は溶かしてくれる。



「兄さん」


その優しい声で。


「ちょっと、兄さんってば!」


少し吊りあがった瞳も


「ランボ兄さん!」





全てが愛しい。





「もう、大丈夫?」


そっと頬に触れてみる。
少し熱い頬。
優しい瞳が私を見て微笑む。

「あぁ、悪い。大丈夫だ」

俺の頬よりは冷たい手に手を重ねる。

「ジェラートの店だろ?行こうか」
「うんっ」

重ねた手を離さず握れば、握り返してくれる暖かさ。
愛しさが溢れてくる。


「お前は俺の大切な子だよ」
「嬉しいっ、私も兄さんが世界で一番好きよ」


兄さんが好き。そう言ってくれる間は一番の兄でいるから。

いつか兄としてじゃなく、男として見てくれるまで。





君の傍で。















(Una persona adorata!様へ、愛を込めて!)