変なの変な(前編)


変なの中にいた変なにであった。中編→「こんにちは。」






あぁ…なんて暇なんだろうか。やることがなさすぎて暇だ。いや、やること自体は山程あるがこれと言ってその やることは急ぎでもない。外を眺めているが特に景色なんて変わらない。道に人がときたま通ったり車が多少行 き交うだけのつまらない景色だ。風が吹いたとて木々が多少なびくだけで鳥が飛んできたとて、すぐに飛び立つ だけだ。はぁ…溜め息が出るだけだ。なんてつまらないんだ。人間の日々などなにかがなければこんなにもつま らないものなのか。もやもやと窓の外を見ている事にも飽きたのでリビングの壁に掛けてある時計に目をやる。 もう、昼どきか。腹は、特には空いていない。でも小腹はへっている気がする。まあ、どちらにしろ昼食はいつ か食べなくてはならない。とりあえずキッチンにいくか…。なにかあっただろうか。冷蔵庫のなかの材料なども うろくなものは入っていなかったはず。唯一あるのはよく冷えた缶ビールが6本ほど入っているだけだろう。あ えて言えば、チーズやバターなどの酒とともにたしなむつまみ程度のものだろう。案の定、キッチンの冷蔵庫を 開けてみると卵が3個にマヨネーズやらケチャップやらと昨日の夕飯の残りと缶ビールと野 菜が少しとちまちました食べ物が転がっているだけだった。本当になにもない。仕方がない、ある材料でなにか 作るか。キッチン台の下の扉を開けると調味料とツナ缶、固形コンソメ、スパゲティーなどが入っていた。うー む、なにもそそられるものがないなぁ…。スパゲティーという気分でもないし米はないしパンもそれといって食 べたくもないし。こうなったら…めんどくさいが外になにか食べに行くかな。思い立ったらそのまま体は動くも ので。季節は6月なわけで外は割とあつい。上着はいらないかな。とにかく靴を履いて玄関から外にでて家のド アのカギを閉める。最近この辺に引っ越してきたからなにがどこにあるかとかは分からないが適当にさまよって いればいずれどこかの店に着くだろう、丁度いい腹ごなしだ。ふむ、引っ越してきた。というか家を建てたため に引っ越してきたようなものだ。ひとつ不思議なのが何故か家の塀の一番端っこ(つまり家の裏ということだ。) に人が一人入れるが前から人が来た場合に擦れ違えないくらいの狭い幅しかない道があった。一体なんのためな のかは分からないが、もしかしたら歴史のある道とか?いやまさか。それなら もっと石柱とかを建てて文字を掘って立派なものになるはずだし…そもそも、家の塀に穴が開いていてそこが道 だなんておかしいじゃないか。もし、その塀の端っこにある道を使う人がいたならばその人は不法侵入じみた人 になってしまう可能性がある。だってその道は僕の家の敷地を通った先にあるのだから。使わない道ならば木で もなんでもで閉じてしまえばいいものを……一度、通ってみるか?何か分かるかもしれない。暇つぶしだ。行っ て見るか。




そうして、僕は玄関からそのまま家の裏の塀の端っこにある道へと足を踏み入れた。




道は砂利道で一足一足歩くごとにじゃりじゃりと砂利道特有の音がした。道は時々曲がり道があってまっすぐず っと続いているわけじゃなさそうだ。そのまま、歩く歩く。周りは塀だらけに木だらけ。なんだ、つまらない。 だだの道だけか…。しかし、引き返すのもあれだからこのまま進むかな。僕はだんだん何回角を曲がっていったい どれくらいの時間がたったのか分からなくなってきた。こうゆう時に限って時計も忘れるし。しかし僕は次の瞬 間、目の前のものを見て驚く。


狭いが上に高く伸びた門があったのだ。ずっと垣根とか石の塀だらけで入口すらなかったのに。 まるでこの家にこの道が誘導しているかのように。そのまま僕は門の前にいき中を覗く。誰もいないのだろうか?


「すみません、雲雀ともうし…」


言葉が止まった。いままで、こんなヘンテコな家を見たことがない。一階は和風なのに二階は洋風で、 庭には一階の和風の家にはまったく合いもしない白い木製のテラスがついていた。 なんなのだろうか…ふと門の横をみると小さい表札がかけてあった。


…。」


この家はという人の家らしい。表札には三人の名前がかかれていた。一番上はここの主人の名前だろう。そし てその下は妻らしき人の名前。最後は娘か誰かだろう。""とかかれていた。ただおかしいことに、主人とそ の妻らしき人の名前の所だけ黒くぐちゃぐちゃに塗りつぶされているのである。なにがあったのだろう。ともか く、この変な家にはとりあえず一人は確実に暮らしているようだ。名前は…「 …。」一体どうゆう女なのだろうか。僕は思い切って門を開けて、そのヘンテコな家の敷地内へと足を踏み入れた。



倖 燗拿20070227