ある日風邪をこじらせて入院するために病院に行った時三階のまどから聞こえた歌声
綺麗で高い声は透き通っていてとても切ない気持ちになった。
優しい歌なのに、なぜか悲しく聞こえた。
看護婦に聞くと丁度僕が入った病室の隣りの部屋の女らしい。
病室で荷物の整理をしているとまた聞こえた。今度は明るくてとても楽しそうに聞こえた。
なんだか無償に会いたくなって、次にきた看護婦にお願いして会ってもいいかを聞いてもらった。
「お願いできるかな。」
「は、はい。わかりました。」
少しすると看護婦が戻ってきてこう言った。
「雲雀さんが?!と驚いていましたが、良いと言っていましたよ。」
「ありがとう。」
早速隣りの病室まで会いに行った。



コンコン



どうぞ。と小さな声が聞こえた。がらがらとドアをあけはいる。
「・・・いきなりごめんね。」
「いえ!そんなことないですよ。それにお客さんなんて久しぶりですし。」
この女の第一印象と言えば、力を入れればすぐに折れてしまいそうなくらい細くて
長い黒髪、白い肌。可愛らしい笑顔をうかべて迎えてくれた。僕の事を怖がらないのだろうか。
自分がこんな事を思うなんて信じられないが正直可愛かった。
「・・・そんなに会いにくる人が久しぶりなの?親とかはこないの?」
「えぇ。あんまり来てくれません。私の病気はなかなか直らない病気ですし、
医療費とかばかにならないんで仕事づめなんですよ。。」
正直もっと会いに来てほしいんですけどね・・・。
と哀しそうに小さく呟いた。
「・・・そう。名前なんて言うの?」
「あ、申し遅れました。 って言います。」
・・・。僕は・・・。」
「知ってますよ。雲雀恭弥さんですよね!もっと怖い方だと思ってたんですけど、
結構優しい人だなって感じました。」
「そう?そんな事言われたのは初めてだよ。」
「そうですか?」
と驚いたように言った。驚きたいのは僕のほうなのに。
「あのさ、いつも歌っているのはだよね。」
「へ?あ、はい。きいてたんですか?!」
「・・・まぁあれだけ声量があれば聞こえるさ。」
「ひー!すみません!五月蠅いですよね!!褒められるけど、そんなに声が大きかったなんて!
誰もなにもいってくれないから気がつかなかった・・・。」
「・・・それはみんなの歌声がすきだからさ。みんないいって言ってるし。」
「そうですか?!なんか恥ずかしいなぁ・・・」
顔を赤らめながら焦って窓の外をみる
なんとなく、一度歌ってくれないかと聞いてみた。
「そんな!人に聞かせるほど上手くありませんよ!」
「いいから。」
「う・・・じゃあ一回だけですよ?」
「ありがとう。」
僕は少し笑いながらお礼をいった。すると、その瞬間がいきなり顔を赤らめた。
「・・・?」
「いや、あの雲雀さんの笑顔があまりにも綺麗だったので・・・あの・・・」
「・・・いいよ。ありがとう。」
「じゃ、じゃあ歌いますね。」
「・・・うん。」


















が聴かせてくれた歌は彼女が好きな歌手の曲で「あおぞら」という曲らしい。
とても綺麗な高い声と楽しそうなの表情。
聴いているこっちまでなんとなく嬉しくなった。
この曲を聴いてなんとなく彼女から感じたもの
があって、歌詞の一部分で「そのぬくもりに身をうずめたい」
というフレーズがあってなんとなくだけどそこの部分だけ
彼女の気持ちが強かった気がした。


















「えと、おそまつさまでした!どうでしたか・・・?」
「うん、よかった。ありがとう。」
「喜んでいただけたのなら。」
にこっと笑ってそんな風に言うから不覚にもドキッとしてしまった。
もうそろそろ眠くなってきたから部屋をでる事にした。
「今日はありがとう。久しぶりにとてもいい時間がすごせたよ。」
「もう・・・行っちゃうんですか?」
「うん。今日はこの辺にしておくよ。」
「そうですか・・・。こちらこそ楽しかったです!ありがとうございました!」
「・・・明日また来るよ。そしたらまた歌、聴かせてよ。」

ぱぁ!との表情がいっきに明るくなり満面の笑みで
「はい!」
と大きな返事が返ってきた。









そこで、僕は病室を後にした。その夜また、会いたいなと思った。
珍しく"ひとめぼれ"なるものをしたようだった。
明日、思いを伝えてみようか。軽い男と思われるかもしれないな・・・。
でも、後悔しないように伝えよう。


















次の日、病室に入ると驚くべき光景を目にした。彼女の母親だろうか。
彼女が寝ているベッドに崩れるかのようにして大声で泣いていた。
なんとなく、不吉な予感がした。・・・あたってしまった。
あとで看護婦に聞くと病気自体はもう末期で危険な状態だったらしい。
夜になっていきなりひどい発作が出てそのまま還らぬ人となったらしい。
僕が歌ってくれと頼んだから・・・?ショックでその場に僕は立ち尽くした。
すると、彼女の母親がこちらに来て言った。
「雲雀・・・恭弥さんですよね?」
「はい。そうですが・・・。」
すると母親は優しく微笑み言った。
「昨日は、と接してくれてありがとうございました。
あの子とても喜んでいましたよ。昨日の夜病室に来たとき
楽しそうに貴方の事を話してくれました。あのこのあんな嬉しそうな笑顔を
久しぶりに見たものですから・・・。」
「そうですか・・・・。」
それと、これを。といって母親が一枚の封筒を渡した。
「・・・これは?」
「読んであげてください。から、貴方へ。です。」
「・・・・・。」
「私はちょっと先生と話さなくてはならないので・・・にお別れだけでも言ってもらえますか?」
「はい・・・。ありがとうございます。」
「それでは・・・・。」





彼女の手紙には綺麗な読みやすい字でこう書かれていた。


拝啓   雲雀 恭弥 様


昨日はどうもありがとうございました。私自身とても楽しかったです。
私はシンガーソングライターになるのが夢だったのでまるで自分が
歌手になったみたいな時間がすごせました。
でも、私自身命はもうないと感じていましたし、この前先生が話して
いるのを盗み聞きしてしまったので知ってたんですけどね。
ここらがピークだって言われてて今日あたりが最後かなって思って
たら丁度雲雀さんが来てくれたんです。とても嬉しかったです。
最後に嬉しい思いをしました。安らかに眠れそうです。
もし、私が歌ったことで私の命が尽きてしまったのではないかと、
思ったらそれは勘違いですよ。だから気にしないでくださいね!

それと、もうひとつ。こんなこと恥ずかしくて言えないけど、でも
本当は面と向かってちゃんと言いたかったんですけど・・・。
私は雲雀さんの事が好きでした。
入院する前に並盛中学に行った時に雲雀さんを丁度見かけて
・・・・。まあ要するに”ひとめぼれ”ってやつなんですけどね。

だから、会えてよかった。です。笑

ありがとう。大好きです。悲しいけどそして、さようなら。


 より 
追記:はヒバリになってこの白い箱から飛び立ちました。












読みおわったとどうじに頬に暖かい何かが伝った。涙だ。
さよならなんて言うなよ。ほら、早く目をあけてよ。キスをあげるから。
の顔にかかる白い布をとり床に落とす。
の顔に触れ、額、頬、口と順番にキスを落としていく。
「・・・・っなんで。」
おきてよ、お願いだから。目を、あけてよ。そしてまたあの笑顔を
その綺麗な顔にうかべてよ。こんなのアンフェアだ。
自分だけ言いたい事を言って。いい逃げかよ。
僕だってのこと好きだったのに。ひどいじゃないか。













そして、僕ものベッドに顔をうずめる。君に聞こえないように
小さい声でなく。そして、握り返してくれるはずのない冷たくなったそのてを握って。
ふと、封筒から何かが床に落ちた。見てみればそれはしおりで鳥の形をしていて
赤いリボンがまかれていて金色に光っていた。しおりの下になにか彫られていた。





”golden lark”





「・・・これは、が使っていたしおり?」
はっ!と気がついて手紙の追記を読む。
そうか、僕へのプレゼントでこれを僕にもってて欲しいということか。
このしおりを僕が持って帰ればは自由になれるのか。
「・・・っ・・ありがとう。ありがとう。。大好きだ・・・」













そのしおりはとても綺麗な鳥の姿をしていて眩しいくらいに光り輝いてた。


















金色のヒバリ


















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死ネタ。
なんともいいようがありません。
長いのにムラがあるという。w
主人公が歌ったのはYUKIの曲です。

倖 燗拿20061105