空は、空は、何故あおいのか。
答えなど簡単なもの。太陽の光を受けて、
輝いた海が空に映るから。


夕方、夕方、何故空は赤く染まるのか。
答えなど簡単なもの。ただ沈む太陽が、
赤いだけ。理由はただ、それだけ。


何故空は灰色なのか。火山灰でも降ってきたのか。
答えは簡単なもの。ただ、水蒸気で出来た雲が
灰色なだけ。空気が重くなるだけ。


雨は、雨は、何故降り落ちてくるのだろうか。
答えなど簡単なもの。水蒸気が雲から
大きな水滴になって降り落ちてきただけのこと。
ただ、それだけ。


じゃぁ、目の前に居るの笑顔は何故温かいのか。
答えは簡単なもの。それはがただ、ただ、
綺麗で素敵な女の人だということ。それだけ。


なぜ、こんなにも君のこと好きなんだろうか。
なぜ、僕は君をこんなにも必要としているのだろうか。
なぜ、なぜ。それしか出てこない。


僕は君に、に望むことは、
ただ、そこのソファに居てくれるだけでも良いんだ。
ただ、笑いかけててくれるだけでいいんだ。
僕にはただそれだけで十分、十分すぎるぐらいだ。
でも、なにかが違う。もっと、なんだろう。


僕はきっとのことを抱きしめたり、頭をなでたり、したいのか、もしれない。
欲を言えばキスとかもっと先のこととかも、したいのかもしれない。


でも、それは僕できない。がやさしくて、やわらかくて、
あたたかくて、キラキラしている女の子だから。
崩したくない、君はそのままが素敵だから。
君が、大切だから。好きだから。


泣きそうなほどなんだよ、僕らしくないけど。
君を思えば思うほど苦しい。異常、だな。




丁度、携帯が鳴った。着信は




「もしもし・・・」
『あ、もしもし恭弥?』
「あたりまえでしょ。」
『えへへ、そうだよね!』
「ところで、用件はなに?」
『あ!あのね、今駅前のケーキ屋さんに居るんだけどね、」
「うん。(ケーキ屋さんって。可愛いな・・・)」
『恭弥は何が食べたい?今から買っていくからさ!』
は何を食べるの?」
『うーん。迷ってるんだけど・・・。パッションフルーツとカシスのムースにしようかなぁって。』
「なんでもいいよ。基本なんでも食べられる。」
『そう?わかったー。適当に買っていくね!』
「ありがとう。気をつけてね。」
『うん!じゃぁ切るねー』



が来るんじゃ、応接室片付けなくちゃ。書類が散乱しすぎだ。
あと、お湯も沸かさなくちゃ。頭、クラクラする。薬、飲もうかな。確かあったはず。
駅前からだと・・・20分くらいか。終わるな。こうゆう時、草壁とかがいればな・・・。
まぁ冬休みだから仕方ないか。さっさと、終わらそう。
やっぱり20分位したらが応接室に入ってきた。
でも僕はその時、昨日からの年末の書類整理におわれて、
片付けがおわったあとすぐ眠りに落ちてしまった。



* * * * *



「きょーやー?いますかー?」
「あれ、寝てるのかなぁ。」
「しょうがない!コートでもかけておいてあげようかな。」


きっと恭弥疲れてるんだろうな。書類が多すぎて
年内に終わるか分からないっていってたもんなぁ。
無理して体壊さないでね、恭弥。
眠ってる顔もかっこいいなんて。猫っ毛のふわふわで
さらさらな真っ黒い毛。すっとしてきれいな目。
きれいではっきりとした顔を囲う輪郭。きれい。


そっと、貴方の頬に触れてみる。白くて、さらさら。
女の私なんかよりもすっごく綺麗。ちょっと妬けちゃう。


あ、ケーキと紅茶の準備しなくちゃ。恭弥が起きたら、
すぐに食べられるようにしておいてあげなくちゃね。
あれ、お湯沸いてる・・・。恭弥、沸かしておいてくれたのかな。
あはは、ちゃんとカップとケーキ皿もしっかり準備しておいてくれてる。


そしてまた、恭弥が寝ている机のところまで行く。
まだ規則的な呼吸を繰り返しながらしずかに眠ったまま。
やさしく、頬をなでて少し手に髪が触れるくらいの力で
頭をぽんぽんとたたきながら、


「ありがとうね。わざわざ忙しいのに準備してくれて。」


少しだけ笑みをこぼしながら貴方から離れてケーキの準備をする。
するとカタッって小さい音がしたから振り返ると恭弥が大きなあくびをしながら、
こっちをみてきて「きてたの。」って。


「あ、起きた?てか、起こしちゃったかな?」
「大丈夫。」
「今、準備してるからちょっとまっててね。」
「なに買ってきたの?」
「いろいろだよー。何でもいいって言うから5個ぐらいかってきたの!」
「5個・・・。そんなに食べられないでしょ。」
「まかせろ!別腹だよー。」
「そうゆう問題じゃないでしょ。」
「むー。」



* * * * *



本当は最初から気づいてたけど気づかないフリをしていた。
が僕の頬に触れた時、外から来たためか手がすごく冷たくて、
いますぐにでも握ってあげたいくらいだった。
もしかしたら僕にも少し熱があったから余計にそう思ったのかもしれない。


「あのね、今紅茶いれてる所だからちょっと待ってね!」
「ねぇ、今日は寒いからミルクティーにしようか。」
「うん!そうだね、そうしよっか!」


にこにこしながら鼻歌まじりに紅茶を淹れるのうしろ姿を見て僕はに近付いた。



「どうしたの恭弥?座ってていいんだよ?どんなにドジな私だって、紅茶ぐらい淹れられるよ!」
「・・・。」


黙って近づいて、の後ろに立つ。それからゆっくりと後ろから包むように、 の腰に両手を回して抱きしめる。徐々に力を入れながら。 それから耳元に顔を近づける。いつもとおなじシャンプーの香りがするさらさらとした 黒くて長い髪。やっぱり外が寒かったのか、僕の手を押さえる君の手は本当に冷たい。


「えと、え、あの、恭、弥?」
「外・・・寒かったでしょ?」
「う、ん。寒かった、よ?えと、あ、あの」
「ケーキ、ありがとうね。」
「いいんだよ?クリスマスだし、私が持っていってあげたくて、って、ひゃぁ!」


いきなりの事に相当驚いたのか普段のからは想像できないくらい焦っていて、言葉かみまっくてて。 いきなり頬にキスしたらビクッて体が動いてまた「どう、したの、恭弥…!」とかいって一生懸命に 腰に回してある僕の手をつかんでくる。なんで僕は今日こんなに積極的なんだろうか。もしかしたら、 さっき飲んだ風邪薬・・・。いや、熱があるからかな。なんか変だな。 あ、カレンダー。そうか、今日はクリスマスだっけ・・・。何も、買ってあげてないな。


「・・・いきなりごめんね?」
「・・・う、ん。」
「紅茶冷めるから早く食べようか。」
「恭弥、あのね、あの。」
「なに?」


すっと手を離して声をかけると耳まで赤くなったがこっちをむいて、僕のYシャツの袖をつかんできた。 どうしたのか、どもりながらも何かを言おうとする。ブレザーのポケットから出した小さな袋。クリスマス用に ラッピングされている。


「えっとね、すっごく悩んだんだけどね、あのペ、ペアリングを買ったの・・・。 どうしても欲しくてね、思い切って買ってみたの・・・。 別に恭弥にしてくれなんていわないけど、あの、受け取ってくれるだけでいいから持ってて欲しいの。」


びっくりしながらも包みを開けるとそこにはが好きそうな形のリングが
二つ入っていた。


「・・・こうゆうものは普通僕から渡す物なんだけど。」
「!。ご、ごめんね・・・?」
「いいよ。ありがとう」


あー。本当は僕から渡したかったな・・・。あー。あとで、別のものをあげなくちゃ・・・。 欲しくなったらすぐに買っちゃうのクセだね。それより、リングとかなんか結婚するみたいじゃないか。 嬉しいけど、なんだかなぁ。も結構ベタな所あるんだね。まぁ女の子だからそうゆうものなのかな。


「・・・手、出して。」
「え?」
「指にはめてあげるから。」
「ほ、本当に?」
「うん。だから早く。」





「・・・・!」





「・・・どう?」
「うん、うん!嬉しい、ありがとう恭弥!」
「…よかったね。」
「えへへ、大好きだよ!」


指輪をあげればうさぎみたいにピョンピョンはねて、嬉しそうにフワッと笑う。 だから、もう一度近付いて抱き締める。 今思ったけど、なんでの笑顔、いや全部がこんなにも温かいのかなんてことに別に答えなんていらないな。 そんなもの、なくていい。むしろ分からないほうが良いかもしれない。 現に今は僕のそばにいてくれて笑ってくれている。 自分で言うのもあれだけど、僕と居る所は幸せそうにしてくれていて。 それだけで十分幸せなのだから、さらに答えを求めようなんてことはやめよう。 求めてばかりじゃなくて今目の前にある幸せを大切にしようと思う。


だから僕の真っ直ぐな気持ち、に伝えるよ。


「うん。・・・僕も好きだよ、。」
「本当に?」
「嘘ついてどうするの。」
「ふふっ!・・・きっと私一番幸せものだね!」


いつだって君の笑顔をみていたいから。僕は君を一生懸命に抱きしめるよ。
だから、僕が今思っていることにきっと
























答えなんて要らない
























蒼波小波サマ大変遅くなりましたが、1234番のキリリクの雲雀で御座います。甘く仕上がっているかどうかは微妙ですが、もしよろしければ! 少し遅めのクリスマス!小波サマのみお持ち帰り可。
倖 燗拿20061227