小さい胸にたくさんの宝物を抱えて歩くってどんな感じかしら?それから山のような想いをこの、小さな胸の中に抱えて過ごすってどんな感じかしら? そこら中のかわいい家の戸を叩けば開いた瞬間にお菓子がどっ!とあふれてくるの。うれしくて、スキップしたくなるような。大きい口をひらいて笑うと あなたは、私の頬を両手でつかんでその、親指で、私のピンク色をしたくちびるをなぞるの。ドキドキしちゃうわ!私ね、そんな優しい貴方に恋を してるの。さよなら、といって去っていくあなたの背中を見てまた、眩しくなるの。目を細めて、きらきら。また、明日も会いに来てくれるんだものね。 その時間が明日も眩しい。小さくハミングして、大好きすぎて気持ちがあふれ出してしまうの。ちいさな、胸の中から。舞い上がってジャンプして くるくるまわるのね。もう、楽しいったらありゃしないの。そう、私はおっきな森の中で一人で暮らしてるの。生まれた時からきっとここに居るんだと思う。 いつだって私の周りは動物達が居て私を守ってくれてて、みんな家族なの。人間っていう動物はきっとここには私だけね。でもね、ある日一人の 人間が私のところに来たの。髪が真っ青でね、目が赤と青で片方の目に変な記号?(私字が読めないの!)見たいなのがあって、首にわっかと 鎖をつけてて白いぼろぼろの服を着てたの。へんなのっておもった。でも、すっごくやさしくてね、なにより素敵なの。なんだか、心臓のとこがかー!って 熱くなってオマケにほっぺたもまっかになって、どうしたんだろ!っておもったんだけど、クマの女の子がそれは恋ね、って教えてくれたの。えへへ! 「、いますか?」 「はいはい!いますよー!ドアをあけてくださいな!」 「はいりま・・・どうしたんです?その、木苺。」 「森でとってきたの。鳥さんが今が美味しい時期だよ、って教えてくれたから!どう?」 「えぇ、おいしそうですね。」 「へへ!頑張ってとったんだ。」 「・・・ひじの所。血が滲んでますよ。」 「あ、!まぁ、でもコレくらい平気だよ!」 「だめです。ちゃんと消毒をしないと。ひじをだして。」 「あい。」 「いい子ですね。ちょっと、我慢しててくださいね。」 ぺろっ。 「んっ!」 「しみますか?」 「ちょ、ちょっと。」 「少し・・・傷が深いですね。もう少し舐めておきますね。」 「え、も、いいよムクロ・・・。」 「だめです、もし化膿したらどうするんですか!」 「・・・う。」 ぺろ、ぺろ。 「あ、いっ!ム、ムクロ、痛い。や・・!」 「もう、いいですかね。、ガーゼはありますか?」 「ガーゼ?」 「傷のところに巻く綺麗な布とかです。」 「消毒できる葉っぱはある。」 「じゃ、それでいいです。かしてください。」 「はい。」 「貼っておきますからね。」 「うん、ありがとう。ムクロ。」 「いいえ、・・・ちょっと意地悪しちゃいましたね。」 「へ?」 「いえ、なんでもありません。」 「そう?ムクロのべろざらざらしててて狼みたい!」 「おや、そうですか?」 「うん!」 「・・・・もし、僕が本当に狼だったらどうします?」 「え・・・・?」 「うそですよ、ではごはんでも食べましょう。」 「そうだね、何にしようかな?」 「僕はなんでもいいですよ。」 「・・・・別に、食事はでもいいですしね。」 「ム、クロ・・・・・?」 ムクロの目はみるみる黄色くなってギラギラとした目つきになって、いきなり私の肩をつかんできた。ムクロの後ろに居るムクロの影は狼みたいになっていった。 怖くなって目をつむったらすぐに眠くなってしまった。 「・・・・。」 『小さい胸にたくさんの宝物を抱えて歩くってどんな感じかしら?それから山のような想いをこの、小さな胸の中に抱えて過ごすってどんな感じかしら? そこら中のかわいい家の戸を叩けば開いた瞬間にお菓子がどっ!とあふれてくるの。うれしくて、スキップしたくなるような。大きい口をひらいて笑うと あなたは、私の頬を両手でつかんでその、親指で、私のピンク色をしたくちびるをなぞるの。ドキドキしちゃうわ!私ね、そんな優しい貴方に恋を してるの。』 私の気持ちは、どこへいったの。 舌なめずりをした、 オオカミ 私が、初めて、恋した、あなたは、狼だったのね。 私、ムクロに最後にキスされたのは覚えてるのそのあと、は、もう目の中が真っ赤だったような気がするの。 あぁ、私本当に食べられちゃったのね。 20070826 鵠沼杵多 |