月光は











世界とは、遠くから見ればなんとも言えぬ美しさを放っている。
しかし、いったん箱の蓋を開ければ薄汚く、どこもかしこも狂いきっている。

さぁ、偶然出会えた君を何とたとえようか。黒煙のなかの輝きとたとえようか、
腐界の中に咲く白百合とたとえようか。君はいつも笑っていて僕を好きだと言ってくれて。
本当に君は僕を好きでいて、それで君は本当に幸せなんですか。
いつ消えるかも分からない僕が隣で君は、そうやっていつまで笑っていられるんですか!
そうやって、笑顔で話しかけて、僕の隣に腰をかけていて、手を握っていて。


「ねぇ、骸。」


あぁ、どうしてそんなにも僕の名前を呼ぶんですか。


「なんでしょう、。」



あぁ僕はいつまでの名前を呼ぶことが出来るのでしょうか。
あぁ!あぁ!またそうやって、笑って、笑ってなにがうれしいんですか。
なにがたのしいんですか!僕にはわからない。
苦しい渦の中で真っ暗で、手を差し伸べられたって、いつだってすぐに消えてしまう。
こんな悲しいことがあってたまりますか。だから、せめてだけでも。
僕の、そばにずっと居て欲しいのに。僕は馬鹿だから、そばに居て欲しいのに
自分から突き放してしまう、んだ。



「・・・。」
「?なあに、骸。」
「そんなに、笑顔を振りまいて何が楽しいんですか。」
「さぁ。」
「さぁってなんですか。君は僕のそばに居てそんなに嬉しいですか。」
「うん。」
「楽しいですか、幸せですか。」
「うん、なぜそんなことを聞くの。」
「ほら、君はまたそうやって笑う!」



声を、張り上げてしまった。僕らしくもないことを。でも、その声には動じず。 顔は笑ったまま。なのに刺さるような雰囲気が漂ってきた。はっきり言って寒気がする。 僕は燗拿を見る、でもまだ仮面のように笑顔は顔に張り付いている。だが、次の瞬間 顔の笑顔が崩れ一気に真顔になった。そして君はこう言った。



「ねぇ、骸。笑顔ってすごいんだよ。笑ってるだけでどんなにつらいことがあっても乗り越えられるんだよ。 どんなに苦しい渦の中に居たとしても笑ってれば幸せってものが出来るんだよ。私が、いつも笑ってるのは 隣に居る骸が幸せで居て欲しいからなんだよ。骸の苦しみが少しでも緩和されればいいと思ってるからなんだよ。 でも、その私の気持ちは骸には伝わらなかったんだね。」


「・・・あ。」


「お馬鹿な骸。幸せの意味を知って欲しいのに。そんなに、怒るなら骸はお月様の光にでも着いて行けばいいのよ。」


そして、僕はまた愛してくれる人、愛する人を一人失った。











降り注ぐ












短編みたいな。こんなはずじゃ・・・。
倖 燗拿20070204