最近思うことはね、なんだか虚しいなって思っちゃうの。 私は魔法使いでも心が読める人でもないから、榛名くんが私をどう思っているかも分からないし、 榛名くんが今なにを思って私を見ているのかも分からない。少し、君の事知れてもそれは、 限りなく小さなことで全然君のことを理解できていない。私はもっと知りたいしもっと話したいのに 話せなくて、帰り際にバイバイを言おうとしても誰よりも早く教室をでて部活に行っちゃうんだもの。 放課後の教室に一人とか悲しいな。漫画の世界だったらここでばーんと登場してくれちゃうのに。 「よし、帰ろう。」 長い間教室から野球部が練習するグラウンドを見ていたら気がつかないうちに陽は傾いてて 秋特有の赤い夕空が広がっていた。きっと努力家の榛名くんは部活が終わっても自主練習 してから帰るんだろうし、まぁ落ち着いて練習見れただけでもいいよね。 「おーい。」 誰だろ・・・。とりあえず窓閉めて、カーテン縛っとかなくちゃ。 「おい!窓閉めてんじゃねぇよ!」 「へ?!」 ええええ!下、ししししたに、居るのって榛名君だよね?え、私に話しかけてたのかな? 「わ、私ですか?!」 「そーだよ!以外の誰が窓閉めてんだよ!」 「ご、ごめん!」 「あのよー!俺の机の横に袋かかってんだろー?」 ふい、っと後ろを向くと袋に綺麗にタオルが畳んで入ってる袋があった。 「これー?」 「おー!それ、投げてくんねー?」 「え!あたし今、降りてくから待っててー!」 私はまとめてある荷物を、大急ぎでしょってダッシュで昇降口へ向かった。靴に履き替えようと 上履きを脱いだときに、私の足元に大きな影が広がった。 「あ、はい!これ。」 「サンキューな。」 「ううん、部活お疲れ様!これから自主練してから帰るの?」 「いや、今日は帰る。」 「?珍しいね。」 「まぁな。あ、。」 「ん?」 「いまからソッコー着替えてくるからここで待ってろ。」 「え?」 「一緒に帰ろーぜ。」 「へ?ちょ、!」 榛名君は私の言葉なんか聞かずに走って部室棟の方に行ってしまった。 え、え、どうしよう・・・。待ってたほうがいいよね? 「わり、待たせたな。」 「ううん、大丈夫・・・。」 「あー、お前いつも教室から練習見てるだろ。」 「!」 「なんでグラウンドのほう来ねーの?」 「あー・・・ほら、ほかの女の子いっぱい居るじゃん?」 「あのなかには入りたくねーわけか。」 「うーん、なんか怖い?から。」 「分かる気もするな。」 「あははっ、分かっちゃうんだ。」 なんか、不思議。こんなにも、すんなり話せるものなんだなぁ。どきどきも、してるけどそれよりも、 今は楽しいのが勝ってる気がする。横顔、綺麗。笑った顔とかすごく、はにかむ感じで、うん。 「わ!」 横顔見てたら、気がついた榛名君が頭をくしゃってしてきた。 「んな、見んなよ。はずかしーだろ・・・。」 「え、あ、ごめん。」 「・・・、」 「榛名、くん?」 「おまえさ、今度から練習終わったらグラウンドこいよ。」 「グラウンドに?」 「おお。んで、今日だけじゃなくて明日から一緒に帰んぞ。」 「あ、えーと、うん、榛名くんがいいなら!」 「・・・すきです、付き合ってください。」 「!はい。」 「うっわ!泣くなよ!」 「ごめん・・・。」 急がなくても、これからゆっくりと理解していけたらいいみたい。 飛ぶ鳥のように 気まぐれな 20081027 潮音*** |