やわらかく透き通った水の中にいるって言うのは、なかなか気持ちいもんだな。毎日、毎日、うだるような暑さの中で過ごしてて死んじまいそうだったしな。 ちゃぷん、と水面に顔をだして息をすう。それから少しおよいで、またプールのそこに葉っぱみたいに横たわる。目をつむってゆっくりと開く。まぶしく、黄金の 色をした太陽の光がプール全体に広がってオレの体中に染み込んでいく。なんの音もしなくて冷たい。気持ちがいい。手を動かして髪に触れる。伸ばしはじめた 髪の毛も大分伸びたもんだ。肩ら辺の中途半端な位置だとじゃまくせぇな。しっかし、結ぶっていうのはなぁ。それに髪が伸びると伸びた分だけ髪が乾くのが 遅くて本当に苛ついてくる・・・。厭だなぁ。あ、。そのまま水面に上がる。ザバッと勢い良く上がって、髪の毛をガシガシとタオルで拭く。ポタポタとタオルに 染み込みきれなかった水分が乾ききった石畳の道に染み込んでいく。その光景を見ながらぼーっとする。 「スクアーロ、こんな所にいたの。」 「・・・か。」 「うん?」 「・・・なんでもねぇ。」


「髪、伸びたね。」 「あ゛ぁ?」 「ちゃんと手入れしないとバサつくよ?」 「うるせぇ。」 「ブローしてあげるから部屋きて。」 「いい。」 「どうして?」 「いいって言ってんだろ。」 「厭よ、無理やりでも連れて行くわ。」 「じゃまくせぇなぁ。」 「何とでも言ってちょうだい。ほら、」 「いったいなんだよ!」 「・・・・。」 「(なんなんだぁは。)」 「・・・私ね、一回スクアーロの髪触ってみたいの。」 「ふん、くだらねぇ。」


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「やっぱり、綺麗だね。」 「そうかぁ?」 「うん。うらやましいぐらいだよ。」 「私、スクアーロの髪好き。」 「そうかよ。」 「ふふ!髪だけじゃ不満?」 「たく、いちいちうるせぇ女だな。」 「はいはいー。」 「ちっ。」 「きっと、長く伸びたらさらさらでとっても素敵だと思う。ロング、似合うと思うよ。」


「男がか?」 「うん、きっと似合う。」






伸びかけた髪を結う

(こんな風にオレの髪をほめてくれたお前はもう冷たい。)






倖 燗拿20070607