「あ、おはよう沢田くん。」 「お、おはよう。」 俺は毎朝、さんとあいさつをする。隣の席なのだから普通なのかもしれないけど 俺にとってはとてもどきどきする事であって。さんは今日もまっしろなふわふわ のマフラーとまっくろのコートを着てきていた。俺はマフラーだけできてるから、 そんな姿のさんがかわいく見えた。(ふ、ふつーでも十分かわいいんだけどさ!) 「毎日、完全防寒だね。」 「え?あぁ、私寒がりなの!」 「そっか、女の子は寒さに弱いしね。」 「えへへ。」 さんのまっしろい肌が北風にさらされて頬が真っ赤に染まっている。それだけですごくかわいい。と 思ってしまっている俺ってもうだめかもしれない。そんな顔でえへへって笑われたら俺は、 寒くもないのに顔が赤くなっちゃうだろうな。あれ、でもさん手も真っ赤だ。 「・・・手袋はしてこないの?」 「うん、なんか蒸れちゃうから嫌なんだ。それにちょっと寒いけど指の自由が利くからさ。」 「そっか、でもそんなに真っ赤じゃきっと冷たいだろうね。」 「ふふ!触ってみる?」 「え!?」 そういうとはい、とさんは手をだしてきた。お、俺はこの手を握っていいのだろうか・・。 ま、迷うけど・・・あー!握っていっか! 「うっわ、つめたー。」 「でしょ?沢田くんの手、すごくあったかい。じーんってあたっかいの伝わってくるよ!」 「ははっ、ほんと冷たいや。」 「はい、沢田くんの手も冷たくなっちゃうから。」 さんはさっきよりも少し赤くなった頬を持ち上げてにこりと笑った。 手を離すとさんはコートの中をあさり始めた。ごそごそと手をポケットの 中で動かして少しすると片方の手をポケットからだして手のひらにちいさな包みを出した。 「これ、あげる。」 「いいの?」 「うん。さっきのお礼!レモン味、嫌い?」 「ううん、好きだから平気。」 「そっか、はいどうぞ。」 「ありがとう。」 「私からもありがとう。」 えへへとまた笑ってみせるから、俺もつられて笑ってしまう。今度は俺からも何か あげようかな。俺はさんから貰った飴を大事にポケットにしまう。そして、また さんのほうを見ると丁度、目があってしまった。 「あ・・・今度俺も何かあげるね。」 「あはは、お礼だからいいのに〜!でも、ありがとう。楽しみにしておくね!」 俺はただ、君の笑顔がみたいだけなんだけどね。 きみが笑うと春がみえる そういえば今日はひなまつりですね! 2008/0303/鵠沼 杵多 |