外はすっごく寒くて、手はかじかんでしまって真っ赤、鼻もつめたい外気にさらされて 手と同じように真っ赤。私はバス停のすぐ横にあるお店の窓をチラリと見る。窓ガラスに 映った私の顔はなんだか笑えた。なんだか恥ずかしくなってぐるぐるに巻きつけているマフラー と無駄に伸びた前髪で顔を隠した。バスは少し遅れていて待ってる時間が退屈だなぁって思った。 ふと俯いて自分の足元を見る。ふわふわのロングスカートとモコモコがついた靴下とベージュの もこもこブーツが見えた。私、今日の格好面白いくらいに完全防備だ。はぁ。白い息が口からふっとでる。 暇つぶしにいっぱい白い息を出してみて一人で笑ってしまった。


「会いたいなぁ。」


ふと出てしまったそんな言葉。冬休みは、好きだけどあんまり好きじゃない。冬休みに限らず 長期休暇はね。部活はあるみたいだけどわざわざ会いに行っても変だから行かないし。もし、 今日会えたら幸せだなぁ。バスの待ち時間なんてどってことなくなっちゃうのに・・・。


ポンッ!


誰かにいきなり肩、叩かれてびっくりして俯いてた顔をばってあげてみた。 そしたらそこにいたのは私がずぅーっと会いたいなと思ってた山本くんだった。


「おお!びっくりさせちまったか。よっ、。」
「や、山本くん!?びっくりしたー!」
「わりぃな。久しぶりだなー元気してたか?」
「ひさしぶり。うん、元気だよ。山本くん、部活だったの?」
「おう!でも寒いからあんまり自分の思い通りに練習できなかったけどな。」
「そっかー手、かじかんじゃうもんね。」
「迷惑な話だよなーオレはもっと練習してぇのに。」
「あはは、山本くんは夏のほうが好き?」
「うーんオレは春とか秋のほうが好きだな。」
「そう?」
「どっちかっつうと夏もいいけど汗がじゃまでな。」
「なるほど。あんな炎天下の中でやってるんだもんねー。倒れちゃわないの?」
「なりそーになるけど監督が怖いから我慢だな。」
「なんじゃそりゃ!」


なんだー!今、私しあわせだ!あーあれかな?私まだ今年の運が残ってたってことかな! なんでもいいや。うれしい、山本くんに会えたことも話ができたことも。とても、嬉しい!


「ところでは何してたんだ?」
「ちょっと年末の買い物をって。」
「そっか、そいや今年ももう終わりだもんな。実はオレ今日が今年最後の部活だったんだ。」
「そうなの?そっか、お疲れ様でした!。」
「はえーよな一年て。」
「そうだね、やりたいことは沢山るのに時間が足らないくらいだなーって。」
年寄りみてー、ははっ!」
「あ、言ったなー!まぁ、いいけどね。」
「ん!、この後時間あるか?」
「うん、もう帰ろうとしてバス待ってただけだからね。」
「そっか!ここからだとそこまで遠くないだろ?」
「どこまで?」
の家。送ってやるよ。」
「え!いいよ!悪いし!知り合いに見られたら誤解されちゃうよ・・・!」
「いーんじゃね?オレは誤解されたいし、となら。」
「・・・え?」


山本くんの手が私の指にそーっとあたってそのままぎゅってなった。
そして、山本くんにひっぱられてバス停をはなれた。


の手つめてー!」
「え?え?」
「まぁ、年末なのに出会えた運命ってことで!」
「や、山本くん?」
「オレじゃだめか?。」
「いえ!全然!でも!」
「いーの。オレはがいいから。」


名前と笑顔・・・。ぎゅってしてくれた山本くんの手は私くらい冷たかったけど、
だんだんあったかくなった気がしたよ。













つまりは、








好きということ













なんとか、いっぽん!
20071230 鵠沼 杵多