やっと午後の授業が終わって、SHRも終わって帰る準備をしていたときお気に入りのクリアファイルか一枚の紙が ひらりと教室の床に落ちた。何だろう、と思ってその紙を読むと「貸し出し本:返却日7月4日」と書いてあった。 そういえばと思い教科書やらノートやらプリントやらがぐっちゃぐっちゃに詰め込まれた机の中を漁ってみると 綺麗にカバーされた二冊の本が出てきた。どっちもかなり前に読み終わったものですぐ返しに行くのがめんどくさくて そのままにしておいた物だった。仕方がないのでそれも一緒に鞄に押し込んで図書室に向かうことにした。 「あのーこれ返却したいんですけど・・・。」 「はい、分かりました。」 「大丈夫ですよ。お預かりしますね。」 「はい、少し遅れちゃってスミマセンでした。」 「いえ、大丈夫ですよ。」 よかったー。今日の担当司書さんじゃなくって。あの司書さん怒ると怖いんだもん。あの人初めて見たなー。 あ、暇だしちょっと本覗こうかな。新しいのとかテストとかでチェック出来てなかったし・・・。お!コレ私の好きな 作家さんの新作だ!面白そうだなー。よし、借りよう! 「すみません、コレお願いします。」 「はい、クラスと番号を」 「2A03です。」 「あら、03?あなた頭がいいのね!この学校は出席番号じゃなくって成績のいい順で並ぶんですってね!私来たばかりなんだけど それ聞いた時すっごくおどろいたわ。ふふ!はい、これどうぞ。」 「そうですね、こうゆう学校も珍しいですもんね!ありがとう御座います。」 あーそういえば武今回のテストどうだったんだろう。毎回点数悪いんだからちゃんと勉強しろって言ってあげてるのに。 この間だって居眠りしてて先生に怒られて沢田君と居残りさせられてて・・・・。んーなんか、寂しいな。本当に。 いつも一緒に帰ろうとすると「ツナん家に行くから・・・今日はわりぃ!」とか言って獄寺くんとかと帰っちゃうし、そのほかは やっぱり野球大好き野球少年だから部活に打ち込んじゃうし。仮にも彼女なのに全く相手してくれないなんてひどくない? そんなにほっておかれたら私他の人に浮気しちゃうんだから。会いたいなぁ、声、聞きたいなぁ。一緒に帰りたい。いつから 一緒に帰ってないんだろう。一ヶ月くらい?うーうーどうしたらいいんだろ。うあ、涙目になってきた・・・。 いろいろ考えながら借りてきた本を片手にもってとぼとぼ廊下を歩いていたら教室から声がした。 「十代目ー!今日はどうしますか?」 「いや・・・別に家に来るなら来ていいけど・・・。」 「まじっすか!?ぜひ伺いまっす!。」 「あ、山本はどうする?」 「あーオレは今日ちょっと用事があるからパス!わり!」 「おっけーわかった。じゃぁ俺たち帰るね。」 「おーじゃーなー。」 ちょっと盗み聞きしちゃった・・・。武、用事って何だろう。つうか、沢田君と獄寺君歩くの早いなぁ。 もう行っちゃったよ。ちょっとだけ教室、覗いてみようかな・・・。 ちょうど、教室のドアに手をかけようとしたと同時にドアが勢いよく開いた。 「わ!びっくりしたー。」 「!よかったー。」 「どうしたの?」 「いやお前が図書室に行くのが見えたから今追いかけようとしてたんだ。」 「へ?なんで?」 「いや、ちょっとな。」 「ちょっとってなに?」 「ほら、最近と一緒に帰れてなかっただろ?お前いつもオレに一緒に帰ろうとか言ってくれんのに、ツナん家に行ったりして 断ってばっかだったし。それに最近元気がない気がしたからちょっと心配してたんだ。」 「武・・・。はは!そんなことないよ!沢田君たちと帰れば良かったのに。せっかく誘われてたんだしさ?」 「・・・強がんな。」 「そんなことないもん!」 「うそつけ、涙目になってる。」 「・・・・そんな、こと、ない、もん。」 そうやっていっつもぎりぎりまでほっておくくせにいきなり馬鹿みたいにさ。いつもそう。くじけそうな時に優しくして来るんだから。 何にも見ていないような素振りを見せるくせに実はしっかり見てて。強がんな、だって。馬鹿。そうしてないといつ目から涙が 零れ落ちてくるか分からないのに。誰のせいだ、武の馬鹿。あーもーそうやって。なんでそんなに優しく抱きしめるの、頭を なでるの。温かい、この感じ好き。ぎゅーってしたくなる。大好き。 「いつも、ごめんな。」 「うん。」 「オレもっとお前の事大事にするから。」 「うん。」 「だから、まだオレのそばで笑っててくれ。」 「うん。わかった。」 「うし!帰るぞ!」 あーあーあーあー!涙、止まんない!流れる流れる。そうやって武はニコニコ笑いながら私のこと見て。涙拭けとか行ってくるし。 そんな余裕ありません!!っていいていけどそんな声は出なくてただ鼻をすするおとしかしない。そしたら武がYシャツの袖で 私の涙を拭ってくれた。ぬれちゃうよって言ったら、「の涙だから平気。」とかさらって。恥ずかしくねぇのかよ! いつもの帰り道。 いつも一人が今日は二人。 空はいつも青いままだけど、今日はちょっと冒険したから真っ赤で。 影はいつもひとつで長さは私ぐらい。今日は二人分長さは二倍。 いつも話し相手は自分。今日は武。 あーあー!やさしいのね!私のこと慰めてくれるの?いつもこんなことしないくせに。 さりげなく、とっと指先に手を当ててきて私がちょっと反応したらすぐにぎゅって握ってきて。 すぐに黙って沈黙。でも手の温かさは本物。温かさ、繋いだ手から届くこの温かさは本物。 繋ぐだけで分かる貴方の気持ち。どっちも同じこと考えてる。その言葉、永遠に続きますように。 また明日、手、つなげますように。また明日、貴方と笑い合えますように。 繋いだ手
13巻のボスかっこよかったなぁ。(関係なしw) 倖 燗拿20060105 |