武が、入院した。





走って走って走って、並盛病院までいく。雨だって構わずに傘も指さずに信号も無視して躓きそうになりながらも走って走って走って病院へいった。 もともと、武の家のお父さんとうちのお父さんが仲が良かったから私たちは幼馴染みとしてずっと遊んだりしていた。何時だって武は優しくて、 私が泣いてれば泣きやむまでそばに居てくれたし一緒に出かけようって言えばにへらって笑って「いいぜ。」って言って一緒に出かけてくれた。 いつだって仲良しで名前を呼べば元気よく返事を返してくれた。そんな武が急に入院しただなんて信じられなかった。 いつも通りの休日の朝を過ごしていて、電話がきたから受話器をとる。武のお父さんだった。少し動揺してたみたいだったけど、 いつものお父さんへの伝言かなにかだろうと思いながら相槌をして話を聞いているとどうもお父さんじゃなくて私に言っているようだった。 内容は武が入院したということと、急にお店を閉めるわけには行かないから私に病院へ様子を見にいって欲しいということだった。 私は、頭が真っ白になった。とりあえず、いつも通りを装って電話を切った。 へたりと座る暇もなく反射的に私の脳は体を動かした。並盛病院に着き、武のお父さんに教えてもらった病室までいく。302号室、個室だ…。 病室の番号の下に「山本武」と書かれたプレートが挟まっていた。息を整えてゆっくりと病室のドアを開ける。 昼間の暖かくも強い日差しが病室内を照らし、包んでいた。中には丁度院長先生の様な人と看護婦さんが二人いた。 病室に入ってきた私に気がつくと院長先生が私に話しかけてきた。


「君が、 さんかい?」
「はい、あの武のお父さんの代わりで。」
「あぁ、その話なら聞いているから平気だよ。幼馴染みなんだってね。」


院長先生の優しい声が病室内に響く。武の寝ているはずのベッドにわカーテンがしてあって居るのか居ないの か、どんな状態なのかまったく分からなかった。早く武の顔がみたい。声が聞きたい。優しくて大きな手を握り たい。院長先生はゆっくりと口を開き、私に武の状態を聞かせてくれた。


「…大丈夫。心配することはないよ。」
「本当、ですか?」
「ああ。少し…疲れていた様だね。」
「野球のやり過ぎでしょうか?」


笑いまじりに言う。


「どうだろうねぇ。とりあえず今は麻酔で眠ってるだけだから、そのうちめを覚ますだろう。
そばに居てあげなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
「それでは、お大事に。」


院長先生と看護婦さんたちが順番に一例して病室をでていった。 武が寝ているベッドのところのカーテンを開ける。ぐっすり眠っていた。髪に触れる。つんつんしてるのに意外にサラサラな髪。 腕を見ると点滴をしていた。体の中にちゃんと入っていってるのだろうか?適度な感覚で一滴、一滴落ちていく。ぼーっとしてたから どれ位の時間が経ったのかは分からない。誰かに頭を触られた感覚があった。私はゆっくり、それはもうスロー再生したかのように ゆっくりと目を開けて目をこする。病室は昼間の眩しい光とは変わって夕方の西日になっていて独特のまぶしさを放っていて 黄色っぽい白っぽい光から赤く茜色に燃えた光で一杯になっていた。私の頭に触れていた手は、武のあの大きな手だった。


「た、けし。目、覚めたの?」
「あぁ。心配かけたな。」
「うん。本当だよ、馬鹿武。」
「ひでぇいいぐさだな。」


私は安心して泣いていた。笑っているのに、泣いていた。
またあのにへらってした笑顔がみれたあの声が聞こえた。うん、武だ。


「おじさん、動揺してたよ。」
「あー、まぁ・・・・。」
「なにそれ。」
「それよりお前、ずっとここにいたのか?」
「うん、おじさんから電話があって急いできたの。走ってきたの。」
「だからこんなに頭ボサボサなんか。」
「本当に、心配だったから。もうあえなかったらどうしようって。」
「おいおい、勝手に人を殺すなよな。」


ふふ!笑うのはいいことだね。本当に、よかった。大好きな武にあえて。


「いつ、退院できるの?」
「あー、体の調子によってだと。まぁ2週間ぐらいだろ。」
「2週間!?長くない!?」
「医者が言ってたぜ。」
「院長先生?会ったの?」
「あぁ。お前が眠ってる時に入ってきたよ。」
「(あちゃー)そうなんだ・・・・。」
「なんだよその顔は!」
「むー!笑うなよ!じゃぁ、毎日お見舞いに来てあげるね!」
「おう!サンキューな!」



それからずっと毎日ぎりぎりまで武に付き添ってお世話をしてあげた。日に日に元気になっていった。 もうすぐ退院。あと三日ぐらいかな。私はいつもどおり学校から並盛病院まで歩いていた。木にはちらほら 桜が咲き始めていてふわりと春の香り。心なしか風が温かい。あぁ春だな。ふと道端を見るとつくしとかも生えてて 本格的だなぁと。ちょっと、いい事思いついたかもしれない!この木には悪いけどすみません!折らしていただきます! ぽきんと桜の咲いている枝を折ってダッシュ!!逃げる逃げる!いっそいで武の病室までいく。



「武!」
「おい、病院内走るなよ・・・。」
「えへへ!バレちまったか!」
「そんなに急いでどうしたんだよ。」
「はい!春の届け物!桜!」
「・・・・これ、折ってきたのか?」
「いやー悪いと思ったんだけど・・・武に見せたかったから!」
「・・・・。サンキュー、馬鹿だなは。」
「もうちょっと喜んでよね!」
「あーのど渇いたな。」
「あ、じゃぁなんか買ってきてあげる!まってて。」


「なぁ、。」
「ん?なに?飲み物何でもいいでしょ?」
「俺たち、付き合うか。」
「は・・・?え、は、え!?ちょ、じゃぁ飲み物!飲み物かってくるね!」
「(なにいってんだろ・・・俺。)」










頭打ったか






馬鹿野郎











うーん終わりがイマイチ。
倖 燗拿20070306

photo*MIZUTAMA