たまに、真剣に考える事がある。何で俺たちはこういう運命だったんだろう、って。まぁ考えたところで何かが変わる訳でもないんだけど。良い事もあるし。だってもし一緒に住んでなかったら、いつも帰った時一番におかえりと言って迎えてくれることも無いし、食事だって毎回共に出来無い。俺の立場上悪い男が寄ってくる事もない。些細な事でも幸せを感じる事が出来る。それはお前がいつも笑顔でいてくれるからだよな、。まぁ何となく分かったかもしれないが、俺たちの関係は兄妹。腹違いだけど、半分は同じ血が流れてる。もキャバッローネの一員だけど、普通の生活を送ってる。今年大学に入った。…まぁ同じ様な立場のヤツが大勢通う学校だけど。

 

「おかえり兄さん!」

「ただいま」

 

ほら、門をくぐると玄関を開けて走ってきてくれるを見ただけで、嫌なことも悲しいことも全て何処かへ行ってしまう。もちろん、悩みだって。

 

「今日も怪我とかしてない?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ」

「気を付けてよ?仮にもボスなんだから」

 

兄さん以外とドジだし、と付け足してクスクス笑う。

 

「でも皆がいるから安心だけど。ねぇロマーリオ?」

「まぁな、」

「なっ、お前なぁ!」

 

笑いながら玄関へと向かう。今日はいい天気だ。

 

「お前こそ学校で何も無かったか?」

 

そう聞くとお前は笑うけど、心配してるんだぜ?流石に学校までついてく訳にいかねぇし。送り迎えはほぼ毎日部下達がやってくれるけど。

 

「うーん…告白、された、かな」

「…マジか」

「うんマジ」

 

たまに、というか結構こういう事あるんだけどな、大抵のヤツは俺とが兄妹って知ると諦めるらしいけど。

 

「でね、聞かれたの、君はいつも告白を断るそうだけどどういう男がタイプなんだ?って」

「…へぇ」

「(…殺気出てるぜボス)」

「…だからこう答えちゃった」

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さんみたいな人、って!だって私、この世で一番兄さんがかっこいいと思ってるもの」

「!!」

 

そうして振り返って、あまりに綺麗に笑うものだから、思わず願わずにはいられなかった。 

俺たちの関係は、生まれた時から変えることは出来ない。だからいつか、の隣は別の俺もまだ知らない男のものになるかもしれない。それでも、まだ今は、全てを独り占めさせて

 

「俺もほど良い女、この世にいないと思うぜ」

「!ありがとう」

 

少しだけ、今日に告白したという男に感謝したいと思う。そして、知ってか知らぬか、愛しい女の誕生日に想いを伝えたその勇気を讃えても、いいかもしれない。

 

 

「ボス!」

「おう、サンキューな!…

「ん?」

 

玄関に着いて、部下から包みとバラの花束を受け取って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誕生日おめでとう」

「…ありがとう、ディノ兄」

 

 

そして、いつもみたいに首に手を回してくれたら、身長差を縮めるから。

 

 

 

 

 

 

 

赤い花をあげるからキスして
大好き、通り越して愛しいよ

 

 

 

 

 

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ありがとうございました!(080107)

ローズドロップス/秋山美雨羅