「おかえり兄さん!」
「ただいま」
ほら、門をくぐると玄関を開けて走ってきてくれるを見ただけで、嫌なことも悲しいことも全て何処かへ行ってしまう。もちろん、悩みだって。
「今日も怪我とかしてない?大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ」
「気を付けてよ?仮にもボスなんだから」
兄さん以外とドジだし、と付け足してクスクス笑う。
「でも皆がいるから安心だけど。ねぇロマーリオ?」
「まぁな、」
「なっ、お前なぁ!」
笑いながら玄関へと向かう。今日はいい天気だ。
「お前こそ学校で何も無かったか?」
そう聞くとお前は笑うけど、心配してるんだぜ?流石に学校までついてく訳にいかねぇし。送り迎えはほぼ毎日部下達がやってくれるけど。
「うーん…告白、された、かな」
「…マジか」
「うんマジ」
たまに、というか結構こういう事あるんだけどな、大抵のヤツは俺とが兄妹って知ると諦めるらしいけど。
「でね、聞かれたの、君はいつも告白を断るそうだけどどういう男がタイプなんだ?って」
「…へぇ」
「(…殺気出てるぜボス)」
「…だからこう答えちゃった」
「?」
「兄さんみたいな人、って!だって私、この世で一番兄さんがかっこいいと思ってるもの」
「!!」
そうして振り返って、あまりに綺麗に笑うものだから、思わず願わずにはいられなかった。
俺たちの関係は、生まれた時から変えることは出来ない。だからいつか、の隣は別の俺もまだ知らない男のものになるかもしれない。それでも、まだ今は、全てを独り占めさせて。
「俺もほど良い女、この世にいないと思うぜ」
「!ありがとう」
少しだけ、今日に告白したという男に感謝したいと思う。そして、知ってか知らぬか、愛しい女の誕生日に想いを伝えたその勇気を讃えても、いいかもしれない。
「ボス!」
「おう、サンキューな!…」
「ん?」
玄関に着いて、部下から包みとバラの花束を受け取って。
「誕生日おめでとう」
「…ありがとう、ディノ兄」
そして、いつもみたいに首に手を回してくれたら、身長差を縮めるから。
赤い花をあげるからキスして
大好き、通り越して愛しいよ
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ありがとうございました!(080107)
ローズドロップス/秋山美雨羅